ダメな男と付き合ってしまったとか、恋すればかならずダメな男に当たる、というような悩みを口にしている女子って、案外多いものです。
夢ばかりを追う男はダメ男なのか問題
ダメな男の代表格みたいにされている職業に、アマチュアのミュージシャンがあります。夢ばかり追いかけて、ろくに仕事もしない男と思われているのだろうと思いますが、アマチュアミュージシャンに失礼だなと思ったりもします。
じゃあ、ダメな女の職業ってなに? と訊かれたら、あなたのまわりにいる友だちや知人の顔色を考慮しつつ、あなたはなんと答えますか? キャバ嬢とでも答えますか? キャバ嬢に失礼ですよね。
「いい恋愛」のひな型みたいなもの
恋愛コラムをたくさん読んでいるひとは、なんとなく分かっているかもしれませんが、世間には「いい恋愛」のひな型みたいなものがあります。
そこそこ稼ぎがよく、それなりに安定した職業についている男子で、女子に対してまあまあ優しくて、いずれ結婚したいと思っている男子と恋愛する……これが今の時代の「いい恋愛」の代表的なパターンでしょう。
いわゆる「新卒至上主義」とおなじことです。企業は新卒を欲しがります。
でも、新卒と第二新卒に能力のちがいはあるのか?第二新卒のほうが挫折も苦労も知っているから、新卒よりもいい人材ではないのか?こういう議論は聞いたことがありません。
つまり、恋愛のみならず、社会全体として、「いい」という範囲がとても狭くなっています。
あなたもダメ女だからではないのか?
ダメな男問題もこれとおなじです。仮に稼ぎがとても少なく、夢ばかりがデカいアマチュアミュージシャンを「ダメ」と定義した場合、それはなぜダメなのか?
そのダメな男と出会ってしまったのは、もしかしたらあなたもダメ女だからではないのか?
そもそもそういう男と出会ったというのは、これまでのあなたの人生の積み重ねが出会せたわけであり、出会い付き合っている彼のことをダメと言うのであれば、あなた自身もダメな女ではないのか?という、誰が聞いても気がめいってきそうな話になりますよね。
問いそのものが間違っている
つまり、ダメな男と付き合ってしまったらどうするべきなのか? という問いそのものが間違っているということです。
社会が「いい」としているもの(たとえば安定した高収入とか社会的立場)を持っていない男子と出会い付き合ってしまったらどうするべきなのか? という問いに変えたほうが、まだ実態に即しています。
この問いに対する答えは、わりとシンプルです。
そういう男を引き寄せてしまったのは、あなた自身ですから、あなた自身の生き方を根本から見直すしかありません。もし彼のことをダメと定義するのであれば、です。
ひとの多様性をどこまで認めることができるのか?
あるいは「ダメな男」「ダメな女」ってなんなのかを考えたほうがいいと思います。「ダメ」の定義なんて、そんなの、そのひとのどこに光を当ててそのひとを見るのか?によって、変わってきます。ダメなところが「いい」と思えることだってあります。
女子に暴力を振るうような、本当のダメ男は別にして、たいていのひとは、いいところも持っていれば、ダメなところも持っています。そのダメなところを受け止め、認めるところに、恋愛の素晴らしさがあります。
ダメな男と付き合ってしまったらどうするべきなのか? という(まちがった)問いは、ひとの多様性をどこまで認めることができるのか?という、とても人間臭いテーマを含んでいます。
言うまでもないことですが、多様性を理解しているひとほど、いい恋ができます。
ダメな男と付き合ってしまったらどうするべきなのか?という問題は、じぶんのことをじぶんがどう捉えているのか? という、「じぶんに返ってくる問題」なのです。(ひとみしょう/ライター)