合コンや飲み会で、1万回くらい「かわいいねえ」と男子に言われて、もう飽き飽きしている女子もいるかと思います。
かわいいねえって……どうせあたしとしたいだけなんでしょ!?みたいな。もっと誠実な男ってどこにいるの? 的な……。
でも、男子って、セックスしたいからかわいいねと言うだけとも限らないんです。
「おれ、淋しいんだよね」
『千と千尋の神隠し』という映画に、カオナシが出てきました。
覚えていますか?千尋に対して、あれもこれもぜんぶ君の好きなものをあげるから……みたいな役回りのカオナシ。
カオナシが千尋に「かわいいね」と言ったのかどうなのか、覚えていませんが、要するに千尋のことがかわいくて、千尋のことをものにしたかったから、ああいう行動に出ていたわけです。
男子の言う「かわいいね」は「おれ、淋しいんだよね」の言い換えであったりもするということではないかと思います。
淋しさから始まる恋愛
淋しさから始まる恋愛をダサいとか、そういうのは嫌だと思うのは、そのひとの自由ですが、恋愛は常に淋しさから始まるという要素を持っているように思います。
卑近な例を挙げると、近所のバーやスナックにバイトに行った女子の話があります。
まあ、あまり大きな声で言えない話かもしれませんが、ああいう場所って、淋しい男たちが足繁くかよっていたりします。
なにもかよっている男子のことを馬鹿にしているわけではなく、事実、そうだったりします。
で、そういうところでバイトしている女子と、そのうちできちゃったりしています。
彼女になった女子は言います。
「最初はそのお客さんのこと、キモイと思ってたんだけど、途中から、なんかかわいく見えてきて、付き合うようになった」と。
もっとも、客とアルバイトですから、バイトの女子は、キモかろうとなんだろうと、とにかく客の話を聞かないといけないので、話を聞いているうちに、男子が抱えている淋しさが理解できるようになったということでしょう。
つまり、女子が抱えている淋しさと、男子が抱えているそれが、わりと一致したから、日の目を見たということです。
まず聞いてみな!
合コンや飲み会で、1万回くらい「かわいいね」と言われ、「もっと誠実な男って、どこにいるの?」と嘆いている女子は、「かわいいね」の先を黙って聞いてみるといいと思います。
出会い頭に「淋しい」と連呼する男は嫌だろうと思いますが、黙って話を聞いているうちに、女子の持つ淋しさと、男子の淋しさが、マーブル模様のようにじわっと混ざり合ってきます。恋が芽生える瞬間です。
男子だっておなじです。イケメンに「かっこいいね」と言う女子があとを絶たないので、イケメンはもう飽き飽きしています。誠実な女子はどこにいるのかなと。
「かっこいいね」「かわいいね」……その先を黙って聞き合うところに、恋が育つ場所があります。
当たり前のことですが、飽きるくらいなら、黙って聞きながら考えたほうが得策だと言えます。
(ひとみしょう/ライター)