別れ話がもつれて、彼氏のほうがストーカーになったという話は、テレビでよく見ると思います。
こんな可愛い彼女と一緒にいられないのなら殺してしまえ、とか、こんな可愛い彼女がほかの男とセックスしているのを妄想したら苦しくてしかたないから殺してしまえ、とか、まあそういう証言が、事件のあとになって(たとえば第一審の判決が出たときとかに)語られます。
セックス難民を恐れる男たち
ストーカーの例はすごく極端ですが、男子の恋愛を取材していて、なんとなく理解できるのは、男たちはセックス難民になることを恐れているということです。
もちろん男子とひとくちに言ってもいろんなひとがいるわけですが、男子は女子に比べて、セックス難民になることを過度に恐れている。
あるいは、彼女がいない男子は、セックス難民の苦痛から、どうにか早く逃れたいと思って必死になっている。
こういうことが、肌感覚として言えるように思います。
ロマンティックな別れ方
セックス難民になることを恐れている男と、どうやって別れたら、ロマンティックな別れ方になるのか?
ストーカーになる男の場合は、まあ警察にでも言うしかないのかもしれません。
そうではない男子と交際していて別れたいというときは、時間をかけて別れるしかないでしょう。
いきなり別れようと言うから、男が暴れる。なんとなく会わない時期が3ヶ月なり半年なりあって別れたら、男のほうにも覚悟ができる。
おれ、もしかしたら彼女と別れることになってしまって、セックス難民になるのかな……そうなるかもしれない、困ったな……でもまあそういうキツい現実を受け入れるしかないなと。そうやって男子が自問自答をする時間を与えたほうがいい。
つまり男子のなかで、セックス難民になる覚悟が育つ時間があったほうが、女子にとってもいいということです。
男にとってセックス難民はどれくらいキツいのか?
ちなみに、男子にとって、セックス難民になることは、どれほどキツいことなのか?
わりと恋愛を自由に楽しんでいる女子には、感覚としてうまく理解できないのかもしれないので、少し紹介しておきましょう。
たとえば、元気な子犬がいるとします。
飼い主が散歩に連れて行ってくれません。3日も1週間も10日も、ずっと散歩に連れて行ってくれません。
そのときの犬の気持ちと、セックス難民になる男たちの気持ちは、わりに近いでしょう。
つまり、本来発揮できる能力(発揮すべき能力)が発揮できない状態。
ただ「ぶっぱなせない」哀しさだけ、というのでもない。
世間のみんなは、恋愛もセックスも自由に謳歌しているように見えるのに、俺だけ取り残されてひとりぼっちで孤独だ……俺に生きている価値ってあるのかな、というようなことを、ずっと自問自答しつづけているような状態。
つまり「ものすごく孤独」だということ。
だから、そんな10トンくらいある重りを一気に彼にぶつけるのではなく(=急に別れを切り出すのではなく)、時間をかけてゆっくりと別れる状況にもっていたほうが、まだマシ。
女子は、一気に金持ちの理想の男と付き合えることもあります。
男子は、苦労してがんばって仕事をして、やっとこさ彼女をゲットします。
要するに、男子の人生の前提条件はセックス難民です。
そういうホントのことを、そのままズバリ言うと、刺されかねないということです。
女子だってそうでしょ? 同性として、ブスに対してブスと言えば、相手が死ぬほど暴れだしたなんてこと、あったでしょう?
だからブスという言葉は、おおやけに使ってはいけないことになっていますよね。
それとおなじです。もともとセックス難民である男子に「ハイ、あなたは今日からセックス難民に戻ってよね」とモロに言うから、非ロマンティックな別れになるのです。
オブラートに包んで言うしかありません。この場合のオブラートとは、時間のことなのです。
(ひとみしょう/ライター)