皆さんこんにちは。15万本以上の爪を施術してきたネイリストでスキンケアカウンセラーの川上あいこです。ネイルサロンは不思議な空間。手を握り合ったまま過ごす約2時間。
手を握り合っているからなのか、リラックスした密室空間がそうさせるのか、秘密の内緒話しを打ち明けて下さる方がとても多い場所でもあります。
親しいのに友人関係ではない。もしかしたら来月は会わないかもしれない。
近くて遠い関係だからこそ、プライドも恥もなく自分の真っ黒な本心さえも吐き出せてしまうのかもしれない。そんなサロンワーク中のみんなの恋のお話を切り取ってお送り致します。
※許可を頂いたものだけ掲載しています。
※個人を特定できる情報が含まれないよう職業等にフィクションも織り交ぜています。ご了承ください。
不倫3か月の法則
不倫の恋に悩む人は案外多い。誰かの配偶者だと思うから燃え上がるのか、いけないことだとわかっているから燃え上がるのか。
いずれにしても、不倫か不倫じゃないかなんて関係なく「恋」はいつかは終わりを迎えるものなのに、不倫の恋の終わりは普通の恋より余計に辛く感じるのは「相手には戻る場所がある」と改めて感じてしまうからなのか。
「あいこさん、不倫の法則って知ってる?」とお客様が話し出した。
「不倫の法則??法則なんてあるんですか?」
「私ね、実は今で言う“略奪婚”だったんだよね。旦那が別な人と結婚してたんだけど。」
そう話し始めてくれたお客様。たしか、結婚して10年はたっているはずだ。
恋をする気持ちだけは、自分でもどうしようもないと思う。例えそれが不倫の恋であっても、好きだと思う感情は急に消えたりしないし、「いけないことだ」と自分に言い聞かせるしかないのが現実だ。
「もうすぐ離婚する予定だ。」そんな言葉を聞いても、好きだからこそ尚更、相手は他人様の旦那様なのだと実感するばかり。
ドラマの中のセリフかよ!と相手に対する気持ちが冷める日もあれば、好きな気持ちが抑えられない日もあって、でも「不倫」なんかしたくないと心から悩んでいたのだそうだ。そんな彼女に、アドバイスをくれた先輩女性がいる。
「不倫はね、三ヶ月が勝負だよ。うまくいっていない夫婦っていうのは、世の中に確かにいるの。
彼が本当に奥さんと離婚したくて、本当にあなたと一緒になる気があるなら、三ヶ月以内に行動にするよ。そうじゃなかったら諦めなさい。」
気持ちを量る「物差し」なんてない。だからこそ「行動」しか信じられるものはない。
恋の始まりの熱病だとしても、そこに掛けてみることにしたのだそうだ。
「奥さんと別れないなら付き合わない、て言ったんだよね。」
誰かと天秤に掛けられる怖さ。好きな相手が、自分と誰かを天秤に掛ける怖さ。
選ばれる立場ってすごく怖い気がする。順位を付けられる気持ち。そう思うと、某アイドルの総選挙って胸が張り裂けそうになるんじゃなかろうか。
あの涙は嘘じゃない気がしてきた。
「すごい覚悟ですよね。彼が選んでくれるって自信ありましたか?」
「なかったよ(笑)だって、夫婦ってやっぱり”絆”があるじゃない?彼の天秤から零れ落ちたら、そりゃ傷つくだろうけど、このまま関係をズルズル続けることも傷つくし、長く付き合っていつか捨てられる方がずっと傷つくはずだと思ったの。」
恋を終わらせる覚悟も含めつつ、自分から天秤に乗った彼女。
彼は、三ヶ月目を迎える前に、家族に正直に全てを話して、慰謝料の話し合いを始めたそうだ。決着がついたのはそれよりもずっと先なのだけれど、彼女は今、その時の彼の奥さんをしている。
「もし、不倫の恋に決着つけたくて悩んでる人がいたら教えてあげてね。3か月の法則。」
その法則を教えて貰ってから、不倫の恋に悩むお客様にはついつい教えたくなってしまうのだ。
おわりに
世の中には「割り切った関係」もあるだろうし、色んな事情があって、ただ「時」だけを重ねる二人もいるだろうし、全ての不倫の恋が当てはまるわけでもないと思う。
でも、どちらかが「自分も真剣だからこそ、私だけと真剣に向き合って付き合って欲しい」という気持ちが湧いてしまったら、いずれかの決着を迎えなければいけない。
「真剣に付き合いたい」ていう想いは、恋愛に於いて至極真っ当な感情なわけで、それを「重い」なんていう人は、端から気軽に遊ぶ気しかないわけだし、「今は子供が小さいから。」だの「妻が癇癪持ちだからもう少し経ってから」なんて言って、真剣に付き合いたいこちらの気持ちに応えるつもりがない相手なんて、自分が抱えるリスクを考えたらとっとと別れた方が身のためだ。
というか、相手にとって一番大切なのは「子供」とか「妻の癇癪の相手をしたくない自分」なわけで、正面から向き合ってくれない相手と恋愛をするほど不毛な時間はない。
「子供が何より大事。」親として当然の感情だ。そう思えるなら、親の浮気を知った時の子供への影響を考えようよ、とも思うのだけど、そういう人って「バレなきゃいいだろう。」と考えているふしがある気がする。ズルい。ズルいけれど
「ズルいオンナだね。」と、切なさ満載で曲にしたくなるくらい魅力的なのかもしれない。ズルい人って。
しかし“三ヶ月”という期間は、どこから湧いたのだろう?
恋愛って熱病なわけで、出会って三ヶ月で「今まで」を無くす覚悟がある人っていうのは、やっぱり本当に「うまくいっていない夫婦」だから行動できるのだろうか?
そして、全てを捨ててくる覚悟で行動するその人を受け止める方も、相当な覚悟が必要なんじゃないかとも思う。
職も信用も資産も無くして、慰謝料を背負ってくる相手を受け止めなくてはいけないんだから。
ふと考えてみたら、不倫から結婚した友人というのも何組かいるのだが、確かに全員が付き合って三ヶ月もしないで行動を始めて、今に至っている。
その友人達に法則について聞いてみたら「案外合ってるよ。」と話していた。
ちなみに、因果応報とはよくいったもので、不倫の末結婚したカップルは色々一悶着起きている。本人達も「バチが当たったんだと思うんだよね。」と良く言う。
誰にもバレずに嘘をついて不倫しても、正面突破で不倫を貫こうとしても、なんかしらの一悶着はある。とはいえ、普通に生きていれば大なり小なり一悶着はあるわけで。
「不倫をしていた」という後ろめたさが「バチが当たった」と思わせているのかもしれないし、一生そんな罪悪感に苛まれて生きるくらいなら、エイヤッと「不倫の法則」を試してみるのもいいかもしれない。
(川上あいこ/ライター)