今宵は、ちょっと恋愛の話から遠く感じることからお話を始めたいと思います。
■「わたしはなぜこの人に対して苦手意識を持つのだろう」
苦手な人に出会ったとき、賢い人は「わたしはなぜこの人に対して苦手意識を持つのだろう」と考えるそうです。
大学だと苦手な先生っていますよね。そういう先生の授業をぼんやり聞きながら「わたしはなぜこの先生のことが苦手に思うのだろう」と考える。会社なら苦手な上司がいますよね。その人が朝礼でなにかを話しているときに「わたしはなぜこの上司のことを苦手に感じるのだろう」と考えてみる!
するといくつかの理由が思い浮かぶと思うんですが、その理由の中にときとして「わたしと似ているからだ」というものが出てくることもあります。
たとえばギラっとした人に苦手意識を抱く人は「わたしはじつはこの人みたいにギラっとしてみたいと思っているのではないか」と思ったり。ホントにホントにギラっとした人が苦手で「マジ勘弁」と思っていても、じつは……ということって、たまにあるからね。
どれだけ考えてもそうは思えない人は、たとえば前世においてギラっとした人にいじめらえてきたのかもしれないけれど、前世なんて言い出したらキリがないので、ここでは触れません。
■歳をとることのメリット
「苦手」って、「自分がそうなりたいと思っている人でもある」という解釈も世の中にはあって。「なぜその人のことを苦手だと思うのか」を、自分なりに考えていくと「わたしはあの人みたいになりたいと思っているところ『も』ある」ということに気づいたりして。
恋愛においても同じことが言えます。「この男子のこと、わたし苦手だなあ」と思っていても、よくよく考えてみると「彼みたいにチャラい感じで生きている人にあこがれる(そう生きたいと思ったことがあったけれど、そうは生きてこれなかった)」とか、そういうことってあるんですよね。
これ、もっと歳をとったらわかってくることかもしれないです。歳をとることのメリットって「若いころ苦手だった人と楽しく話せるようになる」ことです。
若い頃、たとえばギラっとした人が苦手であっても、歳とともに「わたしもギラっとする瞬間を持ちたい」とか「ギラっとしている人と食事をしてみたい」などと、むかし苦手だった人のことを知りたいと思えるようになる――これが歳をとることのメリットの1つです。
■そうやって恋愛の「幅」は広がっていきます
戦略的に彼氏をゲットしようと鼻息荒くしている人だって、結局のところ、自分が話しやすい人たちの中から、彼氏候補を探していますよね。あるいは話しやすい同性の友達から彼氏を紹介してもらうとか、なにかと「自分にとってわりと得意分野の人たち」という狭い範囲でどうにか恋愛しようとしていますよね。
でも、あなたが苦手だと思っている人が、ひょんなことからあなたの味方になってくれるかもしれないです。「ギラっとしているあの子のことなんか、わたし大嫌いと思っていたのに、あの子はわたしのことを嫌いじゃなかったのね」と思える瞬間があったり、「四六時中あの子みたいにギラっとはしたくないけど、わたしもじつはギラっとする瞬間くらいは欲しいと思っていたんだな」と気づいたり。そうやって恋愛の「幅」が広がっていきます。
苦手な人こそがあなたに幸せをもたらしてくれる、というのは、こういうことです。
(ひとみしょう/文筆家)
「今夜はちょっと、恋の話をしよう」