これを書いている今は5月で、セクハラ問題がテレビやネットなどを賑わせています。
■セクハラをはたらく男の問題点
セクハラで謝罪会見している人は、決まって「合意の上だと思っていた」とか「キスくらいは彼女もOKしてくれていると思っていた」という言いますよね。
これを聞いて「アホか、今さらそんな都合のいいことを言いやがって」と思う女子もいると思うんですが、でもこれって、男は大真面目に「合意の上だった」「彼女もOKしてくれていると思っていた」と言っているんですよね。
と、言い切れないですが(セクハラおやじと会って喋ったことがないので)、でも男としてはそう感じます。
男が「合意の上/OKそうだった」と判断するのは、なにを見てそう判断するのかといえば、相手の女性の言動です。
「部長、ここは仕事の飲み会の席ですから、わたしにそんなに近寄ってくるのなら別料金をいただきます。お金が払えないのなら帰ってください」とかとピシャッと言えなかった女性がいます。言っときますが、ふつうはこうは言えないはずで、なので、こう言えない女性になんの落ち度もない。当たり前のことです。
問題は男にあります。男のなにが問題かといえば、ピシャッと厳しいことを言ってこない女性に対して「厳しいことを言わない(100%拒否しない)というのは、もしかしてこの女性はおれのことが好きってことか?」と勘違いしたところが問題。
■男はじつは分かっているんです
セクハラの謝罪会見で頻繁に出てくるのは「酒に酔って」という、お酒にとっても失礼なセリフで、でも「酒に酔って」と言えば、それ以上を語らなくて済むという認識が今の社会の間の抜けた常識なので、とっても便利な言葉です。
「酒に酔って」という理由以外で、先に挙げた男の勘違いをどう説明するのがベターか?
「おれが勘違いした理由は、女性が演技してくれていると、おれが見抜けなかったからである」こう思っている男だっているんですよね。
こういう男性って、例えばキャバクラに行くといくらでも見ることができます。
キャバ嬢がニコニコしながら「いい女」を演じていることに気をよくして、おっぱいを触ろうとして、でも触らせてくれなくて、でもキャバ嬢はニコニコしていて、というのが続くと、男はいとも簡単にその店の常連客になります。おっぱいを触らせてくれそうで、でも触らせてくれないキャバ嬢と同伴したりして、ものすごくお店にお金を落とします。
お金を使っている時、男はじつは分かっているんです。「あのキャバ嬢、仕事だからああやってニコニコしてくれているんだな」と。「仕事だからおれがおっぱいを触ろうとしても嫌な顔ひとつしないんだな」と。
■演技とわかっていても猪突猛進しちゃう男の「なぜ」
そうわかっていれば、適当なところでキャバクラに行くのをやめるといいんです、ホントは。財産の大半を失う前に行くのを止めるといい。でも行ってしまう。
なぜなら男は、演技をしてくれる女子のことが好きだから。演技か本心か、どちらなのか判断がつかない言動をしてくれる女子を前に「この女子の演技がじつは演技ではなく彼女の本心から出た言動であれば」と夢見るのが好きだから。
若い男子だっておなじです。おじさんになったから「演技派」の女子が好きになった、ということではなくて、男の本質は老いも若きもおなじです。
若い男子だって、あなたが好意ある演技をすれば、すぐにコロッと落ちます。好きな男子の前で演技をすればすぐに付き合えるし、好きじゃない男の前で演技をすれば、彼はやがてあなたにセクハラをはたらくことでしょう。あるいはストーカーになるかもしれない。それくらい男って、女子の演技に夢見がちな生き物なんです。
それはきっと、女子とはまた別の種類の淋しさを男たちが抱えているからです。(ひとみしょう/文筆家)
【今夜はちょっと、恋の話をしよう】