こういうコラムを書いていると、いかにも奇抜で「へー、そんなテクがあったんかい! そりゃ目から鱗だわい」みたいな情報提供をしていきたくなる気持ちにも駆られるのですが、一方で、「恋愛ってそんな、手品とか芸人のネタ見せじゃないんだから、結局、モテるためにしてほしいことって、基本のキみたいなことばっかりなんだよなー」とも思ってしまいます。
■ほんっっとうに、スマホって目の前で触られると「サーっ」と冷えるんだよ?
スマホを触るときに悪意とかはないと思います。ふと無意識にLINEの新着とかSNSとかの投稿を確認したりしてる。
変な話、「あ、私今スマホ触ってるな」って意識もとくにないと思います。呼吸をするのに近いような、すごくすごーく日常のルーティンだからね。
でも、それをされた、「目の前でスマホをいじってる女子」を見つめる男子は正反対の感情です。
その直前、数秒前までニコニコ一緒にお話してたその子が、突如としてスマホと「お話」を始めてしまって、自分は突如ポンっと”孤独”の中に放り出された気分に近い。
好きな人と2人きりで話していたら、そこに彼の仲のいい女子が歩いてきて、「おー、久しぶり、元気?」とか言って、あなたそっちのけで彼とその女子が話し始めたときの疎外感みたいなのって経験したことがあると思うんですけど、それとものすごく近い。
さっきまでのうきうきのテンションが、波みたいにサーっと引いていく、冷めていく感覚。「やった、二人きりだ」と(デート中なので当然ながら)思っていたら、思わぬ邪魔ものが入ってきた。
さっきも言ったように、こちらは無意識でやってるんで、「いやいや、たかがスマホでしょ?」と思ってしまうんですよね。見かねた彼が、「ちょっとさ、スマホやめてくれない?」と怒っても、「スマホくらいで小せえ男だなおい」と“かなりマジ”で思ってしまう。
「はえー、無意識って罪なんだなー(ほじほじ)」
と思ってもいいですよ。今までの故意や悪意のない自分のことなんて責めなくていい。でも、これからは「私はスマホを触るのか? 本当に、触るんだな? この男には、そういう気持ちをさせてもいいって本気で思ってるんだな? その程度の相手なんだな?」と自問を投げかけてくるもう一人の自分を脳内に置いておきましょう。
■男子は「楽しませる」責任を感じてる
しつこくてすみません。もう一個言わせてください。
「もうわかったよ、しつこいなこの年増ばばあ!」と感じた方は、どうか関連記事へどうぞエスケープください。
エスケープしなかった方、まことにありがとうございます! では続けます。
上の見出しに書いたとおりですが、男子は、「女の子をエンターテインすること」を通じて自分のアイデンティティを感じる存在です。
エッチであれば「気持ちいい?」と訊いてきて、要するに「すみません、俺は俺の責任をしっかりと果たせましたかね?」と確認してくるのと同じで、デートであれば、その子がスマホを見たり、あくびをしたり、予定よりも早く帰ったりすることもなく(欲を言えば「10時に帰ろうと思ってたけど、終電までいちゃった」とか言ってほしい)、俺の目を見て、ちょっとしたネタ話にくすくす笑って、一生懸命に食べログとにらめっこで選んだお店に「おいしいね、ここ!」と興奮してくれて、しっかりと楽しんでくれたことを確認したい。
結局「好きになる」「付き合う」というのは、少なくとも男子にとって「あなたに私の人生をエンターテインしてほしいです」と表明することに近くて、逆に、デート中にスマホを触るというのは、「無意識に暇つぶしツールであるスマホに手が伸びるほど、あなたは私をまったくエンターテインできていないですよ乙」と暗に伝えているのに近い。
「大げさな……」と感じる方もいるかもしれませんが、それもやっぱり、私たち女子側の理屈です。男子側には私たちの知り得ない感情があるはずですし、「まあ、男子がそういうのなら、そうなんだろうなぁ」と認めざるを得ないというのが、元カレたちが今回書いたことを私に教えてくれたときの気持ちでした。
まあ、そりゃデート中にスマホを触るときがあったっていいですよ。電車の時間調べたり、大事な連絡が入ってるかもしれないときにそれを確認したり、そもそも、私がなんと言おうと、男子がなんと思おうと、私たちにはスマホを自由に触る権利がありますし。彼らの「責任感」なんてはっきり言って知ったこっちゃないと言えばそのとおり。
ただ、これまで多くの男子がいつまでも飽きずに不満をぶちまけ続けてきた「デート中のスマホ問題」の根底にある彼らの気持ちを、この機会に知っておいてほしいなと思ったわけです。
それを知った上で、スマホを触ろうが触らまいが、それはもう完全に私たち次第。(遣水あかり/ライター)