タイトルを見た瞬間、「え、『たられば』ってネガティブなものなんじゃないの……?」と正直思ってしまったんじゃないでしょうか。思っていなかったら、今3秒あげますので、思ってください。
■「たられば」って?
はじめにサクッと「たられば」の意味を確認しておきたいと思いますが、「そんなの知ってるわ!」という人は次の項までサッと軽やかにスクロールダウンしてくださいね。
「たられば」というのは、「~だったら」「~してれば」という要領で、過去の出来事を思い出しつつ、他にあり得た別のシナリオを想像(妄想)しながら、「こっちの方がいい未来に繋がったかも」と考えることですよね。
で、「たられば」が意味ない、よくないと言われるのは、過去と同じイベントが起こらない以上、別のシナリオを想起しても今や将来に何もメリットをもたらしてくれないからです。
例えば大学選びなんかで後悔しても、大学選びというものは基本的には人生一度きりなのですから、「そのたらればは意味ないよ」ということになるわけです。
さっきは、「読み飛ばして」と言いましたが、ここはすごく大切なところだと我ながら思うわけです。
同じ分かれ道に将来立つことがないからこそ意味がないのであれば、もしも逆なら、つまり、また同じような選択を迫られる場面が来るだろうって思えるのなら、「たられば」はきっと意味があるものなんだろうなぁと。
■恋の落とし穴はだいたいいつも同じ
思えば恋は、「たられば」を生かす場面がこれでもかというほど散りばめられています。
彼にベタベタ甘えることが“かっこ悪い”ことだって勘違いして、デート中でもツンツンしてて、「かわいくない」と言われてしまったこと。
浮気されるのが心配で、しつこくしつこく「浮気してない?」とか聞きまくってしまって、まるで「男はみんな浮気をするものだ」みたいに男女の全てを知ったかのような態度になって、今思えばそんなことをするわけない彼の誠実さを信じてあげられずに傷つけてしまったこと。
彼の気持ちを引きたくて、「今度、男友達とふたりでデートするけど、いい?」と、彼が傷つくのがわかっていながら、露骨にモテますアピールをして嫌な彼女でいたこと。
人には誰にも小さくない欠点が一つはあって、そして、その欠点が必ず恋愛において一度ならず、なんどもトラブルを起こしていく。同じような「たれらば」をひとつの恋の中でなんども味わったり、同じ種類の「たられば」が複数の彼をまたがって存在しているのが普通です。過去の元カレたちと別れた原因が、みんな似たり寄ったりしているなんていう人はいくらでもいるのです。
前向きでいることは大切です。幸せは前方にしかありませんから、後ろ向きになっても仕方がありません。でも、恋の「たられば」は後ろ向きじゃありません。振り返っているだけ。身体は前を向いたまま、顔を後ろに向けているだけです。
「今日が最後のデートかも」と常に思って、いつでも全力で彼に甘えてかわいがってもらっていたらよかった。
「浮気されたら殺してやる」と思ってもいいから、浮気をした証拠が発見されるまでは、彼を100%信じていればよかった。
本当は会いたくもない男子とのデートをチラつかせて彼の気を引くようなことをしている暇があったら、その日に、「一緒にデートしない?」と素直に言っていたらよかった。
「たられば」が思い浮かべられるってことは、明日の恋を今日より少し幸せにするために、今の自分の欠点をどうやって克服すればいいかがちゃんとわかっているということ。
「たられば」を毛嫌いせずに、むしろ自分をもっといい女にするための目印として活用していきましょう。(遣水あかり/ライター)