「目で見たものだけがリアル」
だいたい、悲しい目で見てる
「彼女がスマホをめっちゃ触る人で、ごはん食べてるときとかも家にいるときもだいたいスマホ片手に持ってて、もう癖なんだと思うから、半分諦めてるけど、でも、俺は目の前でスマホの画面に夢中になってる彼女を見ながら、すっげー冷めた目をしてると思うよ。諦めてるけど、受け入れてるわけでもないからね」(フリーランス/23才/男性)
それが癖になってる人は、それはそれで慣れてしまって、スマホを見ながら返事したり普通に会話とかできると思うんですけど、ただ、好きな人から自分に対して向けられている視線。これには、気がついていないと思うんです。
「目は口ほどに……」とか言いますけど、会話はまず、目と目。極端な話、好きな人同士なら、目だけでも十分に心の会話ができるわけですよね。スマホは、その大事な目の会話を奪います。しかもおまけに、彼から降り注がれるのは愛情のこもった目線ではなく、悲しい目線。
「どうして俺といるのに、俺を見てくれないのかな……」
そんなふうに思わせてしまっているのにもかかわらず、そのことに気付くことすらできていない「スマホ眺めタイム」は、まさに失われた時間。
デートしてるのに、デートしてない時間なのかもしれません。
「いつでも」と「今しか」
「スマホ触りすぎて彼氏に怒られちゃって、なるべく見ないようにした。最初は見たくてうずうずしたけど、ぶっちゃけ、デート終わってからスマホを見ても、緊急の連絡なんて来てないんだよね、当たり前だけど……」(受付/24才/女性)
そもそもを言えば、デート中にスマホを見る「必要」ってないはずです。
スマホを見る必要っていうのは、「今スマホを見なければいけない」ということ。
デート中にそんなことって、なかなかありませんよね。
スマホの先には、無限のインターネットが広がってますので、LINEに限らず、ネット記事とか、その気になればいつまでもどこまでも、楽しい暇つぶしがいくらでも見つかります。
でもそれ、結局「暇つぶし」なんですよね。
いつでも、暇なときに見て楽しむことができる遊びがスマホには詰まっているけど、どれをとっても、今この瞬間しか味わえないデート中の会話や彼の観察に勝るものはありません。
「いつでもできること」と「今しかできないこと」。
このふたつははっきり分かれていて、そのこともわかってるはずなのに、「いつでも」を「今しか」に侵入させてしまうのって、「今しか」をないがしろにしてしまうことにほかなりません。
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ただ、スマホを完全に禁止とかする必要まではなくて、「いつでも」を「今しか」の楽しみ方に変換することもできますよね。
つまりは、簡単にいえば、スマホを自分ひとりじゃなく、ふたりで一緒に見るに変えるだけでも、それは可能です。
いつでもできる暇つぶしも、ふたりで一緒にすれば、今しかできない暇つぶしに変わりますよね。
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スマホをいじる人は、いじらない人から見て、はるかに「いじりすぎ」に映ってしまうということだけは、ぜひ覚えておいてください。
そして、デート中にひとりでやってしまっている暇つぶしと、それと同時に見逃してしまっている相手の悲しい表情を、少しでも減らせるように。(遣水あかり/ライター)