仕事で、若い女子の恋愛に関する悩み相談を大量に読みました。その中で多かったのが、自分に自信がないという悩みでした。
■自分が座る席をまだ手にしていないということ
オトナの中には、「自分に自信がないといえば、今でも自分に自信なんてない。ただ、毎日忙しいから、適当に生きているだけ」と、しれっと言う人がいます。
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自分に自信がないというのは、社会の中で自分が座る席をまだ手にしていないということです。
つまり、自分に自信があるとか、ないとかというのは、絶えず、自分が置かれている環境とセットで判断されることだということです。
自分に自信がなくったって、誰かが「あなたにはきらめく才能があります、よって、この仕事をやってください」と言ってきたら、その人は自分に自信が持てたような錯覚をおこします。ある種の女子が、タレントやモデルに憧れるのは、たとえばこういう理由です。
「誰かに自分のことを認められたらきっと、自分に自信が持てるだろうな」こういうことを漠然と思っているから、ある種の女子はタレントやモデルに憧れます。
で、タレントやモデルになったら、ホントに周囲の人にチヤホヤされて、とたんに「自分に自信を持つって、どういうことなのだろう」という悩みから解放されて、本当に自信を持つ人もいます。
■「自分に自信を持つ」という発想すらない女子
自分に自信があるとか、ない、というのを、まったく考えたことのない、若い女子もいます。取材をしていたら、まれにそういう女子に出会います。
そういう人は、話を聞いていると、親との関係が良好だったりします。親は親で自由に生きていて、子どもに自分がしたいように生きるといいと言い、子も子で、なんら迷うことなくそのように生きているケースです。
そういう人は多くはいませんが(やっぱりみなさん、それなりに塾に行かざるをえなかったりして、大変なのでしょう)、まれにいます。
そういう人は、幼いころから、自分と周囲との関係が良好なので、つまり自分が社会の中で座る椅子を持っているので、自分に自信があるとかないとか、そういう発想すら持たなかったのでしょう。
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自分に自信を持ちたい女子は、自分の居場所を見つけると、わりと簡単に、あるていどまでは自分に自信を持つことができます。
つまり、社会の成り立ちを知る(椅子のありかを知る)とか、自分の適職を知る(どの椅子に座るべきかを知る)とか、自分のことを愛してくれる誰かに出会う(座り心地のいい椅子と出会う)とか、そういうことで、人はいとも簡単に自分に自信を持ち始めるのです。
さらに言えば、ふつうは若くして、社会の成り立ちを知ることは不可能だし、自分のことを深く愛してくれる誰かに出会うこともほぼ不可能だから、自分に自信が持てなくて当然です。が、そういうことを知ろうと努力することで、あるていどは自信を持てます。それ以上は運です。
運ですが、あなたのまわりのオトナたちを見るとわかるように、たいていの人は、歳とともに「自分に自信を持つとはどういうことなのか」という問いから解放されます。きっとみなさん忙しくなって、そういう問いと対話する時間がなくなってくるのでしょう。
それはそれで、とてもいいことです。目の前にあることを真剣にやるとは、そういうことだからです。(ひとみしょう/ライター)