■昔はあんなにかっこよかったのに!
そもそも人の心は、「過ぎ去った未完成のこと」にこだわるようにできています。
たとえば、高校生の頃、一方的に片思いしていた彼に、今でも淡い恋心を抱いている人もいますよね。そういう人のなかには、同窓会に参加して、その彼の「今」を知りたいと考える人もいるようです。
そして「昔はあんなにかっこよかったのに、30歳になった彼はおおいに老けて見えて、昔の面影がない」ということを確認してやっと、彼への未練が断ち切れた……こんなことを言っている人もいます。
ざっとこんな具合に、未完成の物語に後ろ髪を引かれつつも、それをどこかで断ち切って、誰しもオトナになっていくわけです。
■「老けた彼」を見る効用
「老けた彼」を見たことで、ひとつの「物語のおわり」を知って、やっと前に進めるようになるというのは、非常に大切なことです。
つまり、誰しも前にしか進まない時のなかで生きているわけですから、心が過去につながれっぱなしの生活をしていたのでは、そのうち気持ちがおかしくなってくるのです。
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「今」の恋愛だっておなじです。
誰だって、好きになった彼の過去が気になって、おそらく「当然」でしょう。彼はどこの大学を出たのか?彼の家族はどんな人たちなのか?彼はどんなふうに育ってきたのか?
人を好きになると、相手のルーツが気になって当たり前ですよね。
でも、ホントにいい恋愛は、誰もが知っているように、「彼のすべてが好き」というものです。
彼が過去にどこで誰となにをやってきていようと、そういう過去のすべてが今の彼をつくっているのだから、彼の過去のことも含めて、彼のすべてが好き!
これがひとつの恋愛の理想でしょう。
■心の断捨離がいい恋愛を生む
冒頭に書いたように、彼の過去にこだわっているというのは、同時に自分の過去にもこだわっているということです。
つまり心の断捨離ができていない状況にある、ということです。
そして、これも世間でよく言われるように、人は古いものを手放さないと新しいものを手にすることができません。
新しいものを手にできないと、心の新陳代謝が悪くなって、今を楽しむことができません。
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人によっては「昨日のことすら忘れて新しい朝を迎える」ことを信条として生きている人がいるくらいです。そう年上の人の話ではありません。
たとえば子どもの頃、大病を患った人のなかには、20歳くらいで「昨日のことは過去のこと、過去のことはきれいに忘れて、まっさらな今日という日を生きる」というような、オトナ顔負けのことを言う人もいます。
そういう人は、性格ブスになど、なりようがありません。
過去にこだわる癖がついてしまえば、心が硬くなります。
人は過去を栄養として、まったく新しい1日を、毎日始めるわけです。だから心が硬いと「昨日とおなじ1日」をやることになって、そういう1日の繰り返しが「毎日生きていてもつまらない」とか「彼と一緒にいてもつまらない」という結果をもたらします。
彼の過去も、自分の過去も、寝て起きたらなかったことにしちゃえば、性格美人としてステキな恋を楽しむことができるのです。(ひとみしょう/ライター)