皆さんこんにちは。15万本以上の爪を施術してきたネイリストでスキンケアカウンセラーの川上あいこです。ネイルサロンは不思議な空間。
手を握り合っているからなのか、リラックスした密室空間がそうさせるのか、秘密の内緒話しを打ち明けて下さる方がとても多い場所でもあります。
そんなサロンワーク中のみんなの恋のお話を切り取ってお送り致します。
※許可を頂いたものだけ掲載しています。
※個人を特定できる情報が含まれないよう職業等にフィクションも織り交ぜています。ご了承ください。
◇笑顔の今月
アミさん(仮名)、今月は急にすっきりした顔をしている。ずっと片想いをしていて、どうしたらこの恋が叶うのか、どうしたら彼と一歩近づけるのかと、ずっとずっと悩んでいたのに。
「もしや、恋が叶った?」なんて聞いてみたけれど、アミさんは「まさかまさか」なんて軽口で笑う。
「叶えるばかりが恋じゃないんじゃないかと思って」
なんか素敵なお話が聞けそうだ。
◇叶えるばかりが恋じゃない
「なんか、答えばっかり求めてたような気がするんですよね」心からスッキリした声でアミさんの話は続く。
「出会ったばかりで、まだお互いのことだってよく知らないのに、どうしたら好きになってもらえるかな?とか、付き合えるかな?とか、何をすればいいのかな?とか」
「そりゃ、好きだったら付き合いたいですもんね」
“恋人同士になって想い合いたい”というのは、片想いする人達の願望としてすごく当たり前なことだもの。爪を削りながら深くうなずく。
「でも、ずっと好きな人がいなかったのに”好きだと思える人”に出会えただけでもすごいことなんじゃないかって思ったんです」
「おぉ!それは確かにそうです。大人になればなるほど、なかなか簡単に”好きになる瞬間”って訪れないかも」
収入とか職業とか家族構成とか、年齢と共に気になってしまうのはなんでなんだろう?
「だから”好きだなぁ”て思う気持ちを、もう少し楽しむだけでもいいんじゃないかなって思って(笑) イタイですかね?」
「イタくないですよ!恋人になったら、嫌な部分も見るし、ケンカもするし、楽しいだけじゃなくなるけれど、好きだと思う気持ちだけを楽しめるのって今だけですもんね」
心の底から賛同してしまった。片想いって辛いけれど、彼からの電話や誘いを夢見ながら過ごす時間って片想い特有で、本当に幸せな時間だからだ。
◇おわりに
好きな人を想うとき、キレイになろうとか、彼を知ろうとか、彼にふさわしくなりたいとか、女性はだいたい前向きになって美しくなる。もしかしたら叶わない恋なのかもしれないけれど「好きな人がいる」時間を大切にして、いつか彼と会う日の為に自分を磨く時間を楽しまないなんて、もったいないことこの上ない。
ついつい「付き合えるのか?付き合えないのか?」「私を好きなのか?好きじゃないのか?」と答えを出したくなるし、相手の迷惑考えず「好き好きビーム」的な何かを出したくなるけれど、まずは「好きになれる人と出会えた」ことに気付いて、その時間を大切にするだけでもいいのかもしれない。
誰かが心にいるだけで強くなれたりする。彼を想うだけで幸せな気持ちになれたりもする。
恋しくて切ない夜だってあるんだけれど、誰も恋しくない夜に比べたら、恋しい夜は幸せな夜なんだろうから。
アミさんのように「片想いを楽しむ」時間はいかがですか?
誰かを大切に想って眠る夜なんて、秋の夜長にもぴったりですよね。(川上あいこ/ライター)