皆さんこんにちは。15万本以上の爪を施術してきたネイリストでスキンケアカウンセラーの川上あいこです。ネイルサロンは不思議な空間。
手を握り合っているからなのか、リラックスした密室空間がそうさせるのか、秘密の内緒話しを打ち明けて下さる方がとても多い場所でもあります。
そんなサロンワーク中のみんなの恋のお話を切り取ってお送り致します。
※許可を頂いたものだけ掲載しています。
※個人を特定できる情報が含まれないよう職業等にフィクションも織り交ぜています。ご了承ください。
◇携帯電話と自分
「携帯変えたいんです」
リリさん(仮名)が怒ったような困ったような口調で話し始めた。
「壊れちゃったんですか?」心から思った疑問をぶつけてみる。
「前回来たとき”付き合うかもしれない人がいる”って話したじゃないですか?」
ネイルサロンは毎月一回お会いする場所なので「前回のあの話しどうなりました?」が多い場所だ。1年通して定期的に近況報告をし合えるなんて、ある意味、友達より深い話しをする場所でもある。
「言ってましたね。お仕事関係の人でしたっけ?」
記憶のページをめくって答えた。
◇三年後の自分
「なんか二股っぽいんですよ!相手が。もう、すっごい嫌になっちゃって、彼とのLINEも見たくないし、電話番号とかも消したいし、考えたくないし、もういっそ連絡つかないように携帯変えちゃおうかと思って!!」
リリさんが一気にまくしたててアイスのハーブティーを飲みほす姿からヒシヒシと感じる”ほんと嫌気がさしてるんだろうなぁ”の雰囲気。
「ブロックじゃイヤなんですか?」
「うーん・・・なんか、ブロックより一気にスッキリしたいような気分で。うまく言えないんですけど」
「ブロックだと、うっかり解除しちゃいそうなんでしょ?」
「・・・かもしれないです」
昨日まで好きだった人を急に嫌いになんかなれないですもんね。
◇おわりに
「携帯変えたら、もう相手からは連絡はこないかもしれないですけど、本当に頭にきているなら”何もしない”のもいいんじゃないですかね?」
「どういうことですか?」
怒りや失望って「想い」があるからこそ湧く感情で「好き」の反対語が「無関心」だとしたら、それとは全く逆の行動になってしまう。
「二股したらブロックされちゃってさー」
「浮気したら携帯変えられちゃってさー」
なんて、彼の武勇伝みたいに語られるのもムカつくし、悲しいから、頭にきたからと携帯を変えたら「あなたに感情を持っている」ことを表すことになってしまう。
いつでも連絡がつく。
でも、興味がないから連絡しない。感情がないから連絡先があることすら忘れてた。
そんな「無関心」が一番の仕返しの気がして。
それでうっかり、彼から連絡がきたら?
それこそ、既読スルーしてブロックして欲しい。
「あ、こいつの連絡先消してなかったわー忘れてたわー」て雰囲気満載で無言で反応して欲しい。
そんな仕返しのタイミングをなくしてしまうから「携帯を変える」のはもう少し待ってみてはどうでしょう?ふふふ。
うっかり「二股でもいいから」なんて連絡してしまいそうなら、今すぐ携帯を変えた方がいいかもしれないけれど。
「それは絶対にないです!!!」
力強く答えたリリさんの来月が楽しみだ。(川上あいこ/ライター)