言葉が持つニュアンスの捉え方って、人によって違うから……という国語の授業みたいな話を、今宵はすご~くやわらかくお話したいと思います。
■セクハラ!
で、そのとき彼が「甘いものか……じゃあホテルに行って甘いものをオーダーして食べようよ」と言うと、あなたが「それセクハラだから」と言って、心のなかで「あ~あ、この彼もわたしのカラダだけが目当てでずっとわたしに優しくしてくれてたんだ。ショックだわ……ほかにもっといい男っていないのかなあ」と思って、「わたし帰る」と言って帰っちゃう……。
セクハラ!男子が思うセクハラって、たとえばオフィスで「君がんばってるねえ」と言いながら女子の肩を揉むとか(キモイ)、深夜のオフィスで女子にキスを迫るとか(キモすぎる)、そういう「訴えられても弁解のしようのないアホな行為」を指します。女子に死んでしまえと言われても、反論の余地のないことを指します。これが、男の感覚。
つまり男子は、ちょっと気がありそうな女子に対して、「ホテル」という言葉を発するだけでセクハラと言われるなんて、夢にも思っていないわけです。
■それを探るためにホテルという3文字を口にしたまでで・・・
でも、ですよ、気になる女子に対して「ヤらせてくれそうかどうか」というのって、男子は女子に質問してみたいわけです。この場合の「ヤらせてくれそうかどうか」というのは、単純に体だけ…ということではなく、彼女が自分に対してどこまでの好意を持っているのだろうか?ということです。
だからそれを探るためにホテルという3文字を口にしたまでで、なにもあなたのおっぱいがひたすら気になるという気持ちだけでホテルと言ったわけではないということです。
こういうのって、広く言うと「付き合うまでは下ネタを言われたら虫唾(むしず)が走る」みたいな女子の気持ちに集約されてくる問題だろうと思います。付き合うまでは下ネタを言われたらホントにキモイとしか思えなくて、でも付き合ってしまえば、彼がビックリするようなこともやってあげる……みたいな、女子特有の、男子にはうまく理解できない気持ちですね。
■男子の総意
ありとあらゆるシーンで、女子からのセクハラという言葉って、男子にとってはアイスピックで胸を刺されるようなニュアンスを帯びています。女子は……ちょっとした護身術的にセクハラという言葉を使いますよね。それが効果的な場面もあるでしょうが、お互いに「恋愛の場」として認識していたのなら、それは男子にとって、あまりにも急な攻撃となるわけです。
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何回もこの『ハウコレ』に書きましたが、「ちょっといいな」レベルの男子って、あなたの身体だけが目当てじゃないんですよね。身体も好きだけど心も好きということなんですよ。そういうウブな男心は、「それセクハラだから」でぽきっと折れてしまう。だから、恋愛の場では、「付き合った人としかラブホに行ったことない」とか「付き合うまではヤラないと決めてるの」とか恋愛の言葉を使ってあげる。
「ちょっと探りを入れたつもりだったけど、もうどうしたら良いかわからない…」彼はこう心の中で嘆きながら、ひとり帰路につくのです。(ひとみしょう/文筆家)