それまで他人同士だった人たちが、今日から恋人同士になる。よくよく考えてみると、家族でもない人たちが急に家族のように距離が近くなるのは不思議なものです。
ルールを決めたカップルにありがちなこと
例えばあるカップルが「1日1通は必ずラインをする」なんてルールを設けたとしましょうか。
彼女は寂しがり屋で「毎日連絡すること」で気持ちが安心するので、このルールを守ることは彼女にとってはプラスになります。そこにデメリットはありません。
しかし、彼氏は最初こそマメにやり取りしていたものの、「ルールを破れば彼女が不機嫌になる」という義務感が強まり始め、ついに約束を破ってしまいます。
この時、彼氏はルールを破ることによって「彼女が怒る」というデメリットを抱えますが、一方で「義務感から解放される」というメリットを得ることもできます。
なぜそのルールは破られてしまうのか?
この時彼女が「一度二人で決めたルールなのだから破る方が絶対に悪い!」と言いたくなる気持ちはわかります。自分は意識して遵守しているルールを真横でアッサリ破られるのは、あまり気持ちの良いものではありません。
彼氏はどうして破ると彼女が怒るとわかっているルールをわざわざ破ったのでしょうか?自制心がないから?それもあるでしょうね。でも本質は違います。
このとき、ルールを破ることによって「俺をもっと自由にさせてくれ」というメッセージを彼女に暗に投げつけています。つまり彼氏にとってはこのルールがなくなった方が気持ちがいいのです。
ここに、ルールがあった方が気持ちいい彼女VSルールがない方が本当は気持ちがいい彼氏の対立があります。
この対立が生まれるようなルール設計はどちらかが無理をしているので、100%持続することができません。
そう考えると、恋人同士でルールを決める際には、「お互いがそれを守ることで気持ちよくなれるルール」に限定する必要があるのではないか、というのが私の意見です。
二人が真に気持ちよくなれるルールとは?
私たちは今まで学校の校則も社会の法律もスポーツのルールも、「破ったら罰則を受けるもの」だと教えられてきました。ですから恋人がルールを破ったらつい罰したくなってしまうのです。
しかし、そのルールの作り方は健全ではありません。恋人同士の間では「お互いがそれを守った方が、破った時よりもはるかに気持ちよくなれるルール」を作る必要があります。
そしてそのルールとは「自分の中で決め、自分の中で守り、決して相手に強制しないもの」である必要があります。
相手に喜んでほしい、笑顔でいてもらいたい。それが恋の原動力です。自分が自分に課したルールを守ることで、自分の好きな人が喜んでくれるとわかっているなら、人はそのルールを破りません。
お互いが、お互いのために、誰に言われるでもなく、誰に強制するでもなく、自分自身に課すルール、唯一それが二人を幸せにできるルールではないかと思うのです。(川口美樹/ライター)
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