若いときに恋愛をしていると、よく、年上の人から「学生のときの恋愛なんて、99%別れるんだから。それに、男なんてエロいことしか考えてないよー」なんて言われてしまうことがありますよね。
■あなたもきっと、そうなっていく
考えてみれば、その「大人たち」自身もかつては、「99%別れるよ」というのを言われてしまう側だったはず。
そうして「1%」になれずに大人になってしまった99%が、身をもってその言葉の意味を知った人たちで、そんな体験談があるからこそ、この言葉にはそれなりに重みがあります。
誰もが若い頃にする恋愛は、無敵で、最強で、マリアナ海溝よりも断然深い。
けれど、あとになって蓋を開けてみると、実際、99%が別れてしまっている。これは現実です。
全てのカップルが、当時は永遠の愛を誓っていたのに。
あなたにとっても、その言葉を本当に心から「んなわけあるかい」とバッサリ切り捨てることはできないはず。なぜなら、あなた自身にも(初めての彼氏でなければ)、永遠を誓ったはずなのにそうならなかった恋の経験が一度や二度はあるはずだからです。
その時点で、自分も、「99%、別れるんだよ」と世の中を知ったような口を聞く「つまらない大人たち」の世界に足を一歩踏み入れつつある。
■「100%」ではない
だけれども、「ずっと好きだよ」とベッドの中で言ってくれたはずの彼の気持ちが離れていってしまう経験を重ねていくうちに、この99%の現実をだんだんと思い知らされていきながらも、それでもまだ「100%別れるわけじゃない」というその「1%」に望みをかけて、また恋をする。
これを繰り返すのは途方もなくしんどくて、それこそ、一度失敗するたびに、また次にチャレンジすることが怖くなったりもしてしまいますが、その毎回の頑張りは決してギャンブルみたいな運試しではなくて、必ず、その度に掴むべきものを掴んでいく、しっかりと前進ができているものでもあると思います。
「恋はこれをやったら成功する」という一般論はありませんが、1%に入りそびれてしまうごとに、振り返って、「あれが原因だったのかな」とか「そもそも好かれてなかったんじゃないかな」とかそれなりに的を射た自己分析を重ねていきながら、だんだんと、自分なりの恋愛のお作法を身につけていきます。これはテクニックみたいな小手先のものじゃなく、哲学や生き方みたいな、大きくて深いもの。
それは、別れを通じて知ることができた、自分がウザがられる一番の原因になってしまう言動だったり、自分なりの「こういう男子は絶対に近寄っちゃダメだ」という地雷リストだったり、デートを楽しく過ごすためのノリだったり、彼氏が喜ぶ褒め方だったり、ケンカしたときの仲直りの方法だったり、ありとあらゆる場面で使える自分なりの経験則の集まり。
残念ながら目には見えないので、なんだかいつまでも幸せが来ない気がして虚しくなるときもあるわけですが(自分の体臭には自分が一番鈍感であるように、自分の成長といった変化も、自分では気づきにくいのです……)。
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大人になると「打算」とか「現実」とか、そういうところで繋がり合う恋愛をしてしまうのではないかと考える人もいるかもしれません。打算のない若い頃の恋愛こそが素晴らしいと。
でも、それは違います。大人になったからこそわかるけど、大人だって、一度恋をすれば初恋のようにときめくし、ドキドキする。そして、出会いや誘惑もお互い多いのはひょっとしたら若い頃以上で、「99%別れる」の難易度も全然変わっていない。
それでも、若かった頃よりはちょっとはうまく運べるようになっていて、それは、自分も相手も成長を遂げてきて、1%の針の穴をくぐるコツが、なんとなくでもわかってきているから。そしてこのことはもちろん、今の恋人との関係でも同じことが言えるはずで、付き合う過程で生じる別れの危機から学ぶ自分たちなりのお作法が二人を1%の関門突破に向けて導いていきます。
あなたの運命の相手が、今好きな人か次に好きになる人か、ひょっとしたら今大嫌いなあの人かは誰もわかりませんが、どんなときも、そのときの恋に一生懸命にやることできることはありません。
1%の確実な掴み方は誰も知らないけれど、どんなことでも、一生懸命に真面目にとりくまず、テキトーに、その場の雰囲気や感情や世間体に流されてやっていることで成長できるというのは、どんなことでも、ありえないことです。(遣水あかり/ライター)
(後藤真由子/モデル)
(gaku/カメラマン)