ネット上の恋愛コラムでは、モテテク真っ盛りです。「モテ髪」「モテ服」「モテる言動」などなど、いかにモテるか?ということをテーマとした記事が、日々量産されています。
■男子はモテたい、女子は愛されたい
そもそも多くの女子のホンネって「ある特定の男子に(つまり彼氏に)愛されたい」というものだと思うのですが、この項をお読みの女子のみなさん、いかがでしょうか。
不特定多数の男子にモテたいと思っている人だっているのかもしれませんが、そういう人だってふつうは、歳を重ねるにつれ、不特定多数の男子のことはどうでもよくなり、たったひとりの人に愛されたいと思えるようになってくるのでは?
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モテたいと思うのって、むしろ男です。
男どうしで話していると、「こいつ、いろんな女子にモテたいと思ってるんだろうな」と感じることがよくあります。不特定多数の女子からモテたいというのは、わりとよくある、とまでは言いませんが、そこそこ耳にすることのある、切実な男心です。
若い男子はもとより、歳を重ねても「チョイ悪おやじ」なわけだから。
■モテの本質
「モテ」という言葉は、非常に使い勝手のいい言葉だろうと思います。
「わたしは特定の男子に愛されたいんです」と言うと、どことなく重たい感じがしますよね?
でも「わたし、モテたいんです」と言うと、どことなくライトな明るい印象がありますよね。
識者がよく言う「日本語の妙」と同じことです。
つまりたとえば「売春」と書くと生々しいですが、「援助交際」とか「パパ活」と書くと、ことの本質が隠れるので、わりとおおっぴらに言いやすいですよね。
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ことの本質をうまくぼかしながら、モテ髪を学び、モテ服を学ぶ、というのは、言ってみれば、若い女子の仕事みたいなものかもしれないとは思います。
若いときって、やっぱりおしゃれな髪型でおしゃれな洋服を着たいと思いますよね。
それはそれで、引き続き追求すればいいと思います。
でも、ある特定の男子に愛されたいと、ホンネで思っているのであれば、モテではなく愛される女子になるにはどうすればいいのか、考えてみてはいかがでしょうか?
モテテクはテクニックですから、たとえばこの『ハウコレ』にあるように、箇条書きにしてお見せすることも可能です。
でも愛されるというのは、テクよりもっともっと深い、その人独自の心の動きでしかないので、それをマニュアル化して教えることは、誰にもできません。
あなたと、あなたが気になっている男子の関係、というのは、あなたにしかわからないことなので、自分の視点から「愛される」を始めるしかないのです。
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取材をしていていつも思うのは、「愛されることがうまくできない女子が多い」ということです。
モテテクは、それこそネット上にたくさんあるので、取材でお会いするときも、女子たちは、モテ髪にモテ服でやってきます。きっとネットなどで、そういうのを調べて、そういうかっこうをしているのだろうと思います。そして取材のあと、合コンにでも行くのだろうと思います。
が、愛される会話とか、愛されるしぐさというのは、個々の女子によってやるべきことがちがってくるので、愛されることをやる女子は少ないです。
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「ある特定の人に愛されること」をやっている女子は、たとえばどういうことをやっているのか?
これがケースバイケースで、簡単に箇条書きできないので、まずはモテたいのか、愛されたいのか、自分で決めたほうがいいです。
決めたら、不思議とそのような言動になってくるのです。
不特定多数の人をイメージしつつ書いた文章と、ある特定の人をイメージしつつ書いた文章が、同じことを言っていても、伝わり方がまるっきりちがうのと同じことです。
たとえば秀逸なラブソングは、場合によっては何百万人もの人が聴くことを想定してつくられていたりもしますが、作曲者・作詞者は「たったひとりの君」に捧げるべく書いているということです。(ひとみしょう/ライター)
(伊東亜梨沙/モデル)
(柳内良仁/カメラマン)