塩顔フェイスに甘い魅力、「塩豆大福男子」はいかが?
仕事の打合せでその日初めて会った男性は、メガネを掛けていて常にうつむき加減、あんまりしゃべらないし、表情は前髪に隠れてあまり見えなくて。でも、それがやけに気になった。
だってこの人たぶん、”隠れイケメン”だ。
(そういうのって、女子はすぐに嗅ぎつけてしまいがち!笑)
一見すると、星野源みたいな塩顔男子っぽいのに、どこか甘ったるい印象の彼。
顔の全体像、一体どうなってるんだろう? 目が合わないかなー。と、続く会議をよそに、彼の動向ばかりを逐一うかがってしまっているじぶんがいた。
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すると彼は、お茶うけに出された羊羹(ようかん)をひと口「パクっ」と口に運んだかと思ったら、次々にパクパクと食べ始めた。
ちょ! ちょっとそれは食べ過ぎじゃない!? みんなの分、なくなっちゃうよー! とハラハラドキドキ。おそらく、その場にいた4〜5人みんながそう思っていたに違いない。彼と、残り少なくなっていくお皿の上の羊羹とを、みんなの視線が行き来していた。けれども彼は、そんな空気を全然読まずに、一つまた一つ、と食べ進めていて……
甘いもの、どんだけ好きなの(笑)!?
と、塩顔風”隠れイケメン”な上に、意外性あふれる甘党男子の出現に震撼!
こ、これは……もしかして“塩豆大福”男子!?
“塩豆大福”といえば、しょっぱめの塩豆が見え隠れしつつ白い粉に覆われたビジュアルは涼しげなのに、中身のあんこは甘くって、絶妙なハーモニーの和菓子のTHE・王道!
……そんな人気スイーツを再現したかのような、新次元“塩豆大福”男子だこれは!!!
妄想するに、仕事でミスして落ち込んでるときに、厳しめの表情で彼が近づいて来て、怒られるかな!? とドキドキしてたら、「だいじょうぶだって。そんなの失敗のうちに入らないから」って肩に手をポン、にっこり微笑みかけてくれそう〜。
だってなんだか……甘いものが好きな男子って、女子に優しそう。
それに、口の中が甘〜ぁくなってるときにイライラする人っていないんじゃ?
だから、じぶんにも女子にも甘そう。なんだったら、食後のスイーツも一緒につついてくれそう。
はぁー甘い!!!
女子サイドとして、その存在自体にホッと安心する〜。(勝手なイメージ。笑)
あぁ彼ってば、外見こそあんな風にクールだけど、甘ぁーい男子に違いない! しかも今、彼の口の中メッチャ甘いはず……。
もう、まさに彼自体が塩豆大福!!!(?)
そんなことを考えながら、「いいな、私も甘いもの好きだし。ていうか、この人のこともメッチャ好きだ」と、羊羹の乗ったお皿がすっからかんになってしまった頃にはすっかり、彼のあまじょっぱい魅力に”きゅんオチ”してしまっていたのだった。(大島智衣/脚本家、エッセイ・コラムニスト)