自分磨きとか、女子力を高めるといった言葉が、ネット上にたくさんあります。
■目に見えないものを磨く
自分磨きを「ルックスを磨く(つまり、たとえば美容系のことにいそしむ)」と捉えるのであれば、仕事が終わってから、ちょこっとエステに行くなどすればOKでしょう。まとまった時間なんて必要ないでしょう。
でも、自分磨きを「目に見えないものを磨く(自分の教養や内面を磨く)こと」だと捉えた場合、まとまった時間が必要になってきますよね。
たとえば、今の仕事がつまらないから、先の人生を考えて資格をとりたいと思えば、きちんと勉強する時間がどうしても必要になってくるでしょう。今の時代、ちょこっと勉強すればとれる資格だってありますが、極端に言えば、司法試験なんて「ちょこっと勉強して」受かるようなものではないはずです。
司法試験ほど極端な話でなくても、たとえばアルバイトのかたわら音楽をやっている人というのは、アルバイトにまとまった時間をとられてしまうゆえ、なかなか芽が出なかったりしますよね。
やりたいことをやるとか、自分がなりたい自分になるというのは、結局のところ、この「まとまったひとかたまりの時間」を、若いころに持てたかどうか、に大きく左右されるのです。
さらに言えば、「手軽に磨けないもの」を磨こうと思えば、「まとまったひとかたまりの時間」がないと、落ち着いてものを考えることができなかったりしませんか?
■まとまったひとかたまりの時間
どんなにふわふわキャピキャピ生きているように見える若い女子だって、取材でよくよく話を聞くと、人知れず就職について悩んでいたり、結婚について悩んでいたりします。あるいは「自分磨きをしないと女子力が上がらない」と本気で悩んでいたりします。
だから、こういう、ぱっと見あまり女子ウケしないであろう話を、ここで延々としているわけですが、誰だって、人知れず自分の先の人生について悩んでいるはずです。
そういうときにあなたを助けてくれるのは、お金ではなくまとまった時間です。
お金というものは、いずれ消えていくものです。それにお金があるから資格試験に合格できたとか、お金があったから自分探しの旅を完結できたとか……そういうことって、あまり聞かないですよね。そういう人がほぼいないから聞かないわけです。
おわりに
美容のこととかお洋服のこと、あるいは「他人から女子力が高そうに見られること」などに時間を使うのは、それはそれで結構なことだろうと思います。
なんといってもあなたは若いわけですから、そういうことに熱心になって当たり前でしょう。
でも、結婚する前の、時間が比較的自由になる時期に、どうにかまとまった時間をつくって、なにかを真剣にやってみる……これが若いときに本当に求められている自分磨きではないかと思います。
あとになって「時間がないから、なにひとつ自分磨き的なことができない」と嘆いている女性って、案外多いのです。
若いころにまとまった時間をどうにか捻出して自分を磨かなかったら……あとになってそのツケがやってきます。
人生、どういうわけか、つじつまが合うようになっているのです。(ひとみしょう/ライター)
(古泉千里/モデル)